2016年7月15日金曜日

健軍情報78-「新聞」にする

    7/1             山肌がごっそり削られている阿蘇大橋の崩落現場   

地震以降、意識して「変えた」ことのひとつが、
「新聞」をとることにしたことだ。
いや、新聞なら以前からずっと毎日新聞をとってきた。
でも、その毎日をやめて「新聞」にしたのだ。
熊本では、「新聞」といえば、熊本日日新聞だ。
クマニチ以外は、「新聞」とは呼ばれず、
それぞれ「朝日」や「毎日」と呼ばれている。
だから「毎日」を読んでいても、
熊本で「新聞」を読んでいることにはならないのだ。



 そして、全国で報道されようがされなかろうが、
被災地は、今もずっと被災地を生きている。
だからやはり、地元の「新聞」の情報が必要なのだ。

そんなわけだから、健軍教会避難所が「朝日」の一面で取り上げられても、
熊本の人たちからはほとんどリアクションがない。
むしろ、県外の方々から「読みました」などというメールを戴いたものだ。
「新聞」(=クマニチ)に載っていることはみんな知っている。
そうでないことは・・・、という熊本なのだ。
       7/5                           益城では危険な建物がいまもそのままに       
さて、地震から3ヶ月の熊本。
「新聞」の一面には、避難所で生活する方々の人数が
4692人であることが報告されている。
この間、小規模避難所の閉鎖があいついでいたので、
その人数の多さにあらためて驚いた。
繰り返すが、なお4700人弱である。
あれから3ヶ月も経つのに、数千人の方々が
体育館の床の上で寝て、起きて、食事して、生活しておられるのだ。
そこから通学し、通勤し、定期考査を受けに行き、誕生日も祝う。
加えて、県外避難の方、自宅の庭先の
クルマやテントなどで生活しておられる方も少なくはない。
 
 先日、「できたしこ」のボランティアとして、益城の大規模避難所に出かけた。
愛児園/LEC避難所が閉鎖になり、移ってこられた避難者さんを訪ねたのだ。
この避難所では二百数十人の方々が生活しておられて、
エレベーター前にも、廊下にも布団が敷かれている。
「新入り」の彼が入った教室ほどのスペースには、
高校生の息子さんがおられる世帯も避難中だった。
思春期のこどもが、プライバシーもない床の上で3ヶ月間も、
いったいどのような思いで生活しているのだろうか。
7/8       いまも200人以上が生活している益城の大規模避難所
ひとりひとりの避難者さんが、
それぞれに重い思いを抱えておられる。
あるお母さんからは、学校で「〇〇んち、赤紙(危険家屋)ばい」と云われ
子どもが学校に行きたがらなくなった、という話を聞いた。
また、疲れからか、家族が順番に熱を出して寝ている、
という家族もおられた。

益城では、ようやく倒壊住宅の公費解体がスタートしたばかり。
市内では、すこしずつ危険家屋の解体がすすみはじめ、
更地になった場所も増えはじめたが、
益城では、まだほとんどの倒壊家屋がそのまま放置されている。
今にも道に倒れかかりそうなビルや家屋の傍が、
子どもたちの通学路になっている。
周辺一帯が廃墟と化した地域にも、
そこで生活しておられる方々がおられるのだ。
住宅の問題は深刻で、一部損壊では仮設住宅には入れない。
ちなみに、県下に建設が予定されている応急仮設住宅3631棟のうち
完成したのはまだ4割割ほどだという。



教会員さんが住んでおられた地域。人影まばらだが明かりが灯る家も。
電柱は、2メートル以上も地中に沈んだまま。
 昨日は、業者不足で工事が進まない益城町の住宅街に、
ガレキ撤去のボランティアにでかけた。
ぐらぐらになって危険性が増しているブロック塀を破砕・撤去し、
ガレキを処分場へと運搬するのだ。
「できたしこ」では、こうした地道な働きのため、専従の牧野氏を中心に、
福岡・山口の牧師さん方がチームになって、黙々と取り組んで下さっている。
このところ豪雨が続くので、長駆熊本入りしてボランティアに備えでも、
雨がひどいと処分場が閉鎖になって仕事が出来ず、
何しに熊本まで来たのかわからなくなってしまうような日も少なくない。
わたしはたまに同行して、写真を撮って帰ってくるくらいのことだから、
黙々と熊本で汗を流してくださる働きには、ほんとうに頭が下がる。
ありがたいことだ。




それでわたしはといえば、
震災ボケのアマタを用いて、
被災地の教会に何ができるかを、
ぐるぐると考えている。
 
とりあえず、こんどの日曜日は
緒方宏明先生をお招きして、
震災前から企画していた夏の公開講座
「乳幼児期における愛着形成とその後の心の問題への対応
~今回の地震の状況を含めて~」を開催する。
7月17日(日)13時から。
どなたでも参加自由。入場無料のプログラムである。
先日も、めぐみ幼稚園のお母さんたちから、
「子どもが聞いたこともないような攻撃的な言葉遣いをする」、
などといった震災後の子育ての悩みを聞かされた。
被災地の子どもたちに典型的な症状だ。
そうしたお母さんたちの悩みに応えるために、
熊本のルーテル系の幼稚園長さんたちとともに製作協力した、
チャイルドファンドジャパンの小冊子
「被災地の親と子どものこころのケア」が完成した。
今週中にも、熊本県下の幼稚園で一斉に配布される予定だが、
関心のある方は、チャイルドファンドジャパンに連絡していただければ、
必要部数をお送り下さるはずだ。
https://www.childfund.or.jp/blog/
 
そして来週の土日には、
行定勲監督の「うつくしいひと」のチャリティ上映会。

-----      第5回観光映像大賞受賞      -----


7月23日(土)19:00~ 24日(日)14:00~
それぞれ、大林由紀さんの弾き語り 加藤麻衣子さんのオルガン演奏も
併せてお楽しみいただける企画である。
これについては、熊本の人たちはみんな観たい映画なので、
周囲の方々の関心も高い。
今から、お客さんが入りきらなかったらどうしよう、
などと要らぬ心配をしたりしているところ。
 
そんなこんなで、あっという間に毎日が過ぎていくのだけれど、
目を開いて、耳を開いて、
被災地の日々に、被災地の人々に、心に留めていきたい。
この地に生きるものとして、
この地に立つ教会として。
7/1 十字路を埋める土砂   阿蘇 土砂崩れの被害は今も続く
 

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