2016年7月8日金曜日

健軍情報76-ただの本棚のはなし

長い道のりだった。
これを過去形で語ることが出来ることが、
どんなに嬉しいことか。
前震直後の様子と翌日一応片付けた後
とはいえ、たいした話ではない。
ただの、わたしの書架の話。
2度にわたって床一面を覆った本の海は、
その後3ヶ月近く、牧師室の床を占拠し続けた。
しかし、片付け終わった数時間後に再度この有様
このイス上で罹災したが、怪我はなかった。
片寄せられるのに3日間。
平積みにされたままで1ヶ月。
書架を組み立てて補強の柱を入れる作業に2週間、
検索できるように床の上で背を見せて縦置きされた状態で2週間。
それから、項目分けされてぜんぶが書架に収まるまでにさらに3週間。
〆て2ヶ月と3週間。
震災後1ヶ月。まだ書架が組み上がらない。
今日、ついに最後の1冊が書架に収まった。
床の上には、1冊の本も無い。
まったく普通のことであるにもかかわらず、
そのことがなんと気持ちのよいことか。
補強された書架の完成
わたしにとっての「復興」の一里塚。
ただ、「復興」とは、昔と同じ状態に戻ることではない。
新しい存在になること。
わたしの書架も、補強の柱が入って崩壊しづらくなった。
書架設置のデフォルトから
加速度的に混沌に向かいつつあった書籍の分類は、
一応綺麗に当初の秩序を取り戻した。
少しずつ本が書架へ。
ここにいたる道のりは、短くなかったのだから、
なにかお祝いでもしたい気分。
願わくば、もう書架が倒れるほどの
余震は、ごめんこうむりたい。
しかし床にはまだ大量の本が・・・。
とはいえ、これはただの書架の話。
被害認定の二次審査をまっている半壊家屋の話でも、
仮設住宅の抽選の話でも、
半年待ちと言われている屋根の修理の話でもない。
単なる書架の話にすぎない。
ようやくすべての本が書架へ
 書架ごときで雀躍するのも申し訳ない話。
でも、ここは率直に喜びを表現しておこう。
たとえリビングや寝室や玄関や倉庫の復興が道半ばだとしても、
この件に関してのみは、もうプロセスは終了したのだから。
素直にうれしい・・・。
そして床の上には本がない!
 でも、謎も残った。
この際だから余分な本は処分しようと、
段ボール箱5箱分の書籍との別れを決めたのだが、
それらを省いたにもかかわらず、
書架にはその分の余裕がまったくない。
それが謎。

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